コンテンツ

#3第2章 情報収集
情報の流れの〝川上〞を押さえ、誰よりも早く掘り出し物を見つける

儲かる物件情報が、 ウェブ上に掲載されない理由

 なかなか良い物件が見つからない……。そう嘆く投資家の声をよく聞きます。
不動産投資情報専門のポータルサイトの新着情報をまめにチェックしたり、投資専門 以外のあらゆる不動産情報を、一日数時間もかけて調べているような投資家が見られま すが、これはあまり意味のない行動だといえます。
  というのも、儲かる物件情報はインターネット上には掲載されません。そう断言する のは、私たち自身が常に良い物件情報を追い求めている経験から得た情報だからです。
  ここでは現状をご存じない方のために、どのように収益物件の情報が出てくるのか、 その流れを紹介します。
  あなたが所有物件を売りたいと考えたときに、まず不動産仲介業者に「売って欲しい」とお願いすると思います。その際に売買仲介業者と結ぶ契約を「媒介契約」といいます。 媒介契約には次の3種類があります。

•一般媒介契約

 

一般媒介契約は、複数の業者に対して仲介依頼ができる契約です。業者に依頼するだけではなく、売主自らが買主を探して売買契約を結ぶこともできます。
 依頼を受けた仲介業者からすれば、複数に依頼されているということで、売却にあまり力を入れてもらえない可能性があります。ただし売主からすれば、多くの投資家に対して情報を拡散できるというメリットがあります。一般的にインターネットで出回っている情報のほとんどが、この一般媒介契約です。

•専任媒介契約

 専任媒介契約は、1社に仲介を依頼する契約です。複数の業者に仲介を依頼することはできませんが、依頼主が自分で入居希望者を見つけることは可能です。専任媒介契約を依頼された不動産仲介業者は、媒介契約の有効期間を3カ月以内とすること。2週間に1回以上、依頼者に業務の処理状況を報告すること。媒介契約締結の日から7日以内に、国土交通大臣の指定する流通機構『レインズ』(不動産業者間の情報ネットワーク)に当該物件に関する情報を登録すること、が義務付けられています。

•専属専任媒介契約

 専属専任媒介契約は、依頼した仲介業者から紹介された買主相手のみと取引をする媒介契約です。専属専任媒介契約で依頼を受けた仲介業者からすれば、競合他社に契約を横取りされる心配がなく、買主が直接売主を見つけることもないので、確実に仲介手数料が見込めます。そのため、必然的に客付けの優先度が高くなり営業にも力が入ります。
 専属専任媒介契約を締結した業者は、媒介契約の有効期間を3カ月以内とすること。1週間に1回以上業務の処理状況について報告すること。媒介契約の締結日から5日以内に『レインズ』に当該物件に関する情報を登録することが義務付けられています。 

一般的に「オープン情報」や「公開情報」と呼ばれる物件情報は、国土交通大臣が指定する流通機構『レインズ』に掲載されている情報を指します。
 次項で詳しく説明しますが、良い物件は『レインズ』に掲載される前に売れてしまうもの。簡単にいえば、情報を一般に公開する前、「クローズ情報」や「未公開情報」の時点で売却先はすでに決まっているのです。

不動産投資業界における情報流通の構造とは?

 さらに不動産投資業界の仕組みを掘り下げていきましょう。 

 不動産売買仲介業者には、業界用語でいう「元付け業者」と「客付け業者」がいて、それぞれが売主、買主を見つけます。そして売買取引を成立させて、はじめて儲かるという手数料商売になっています。「元付け業者」というのは、売主と媒介契約を交わしている仲介業者のことです。対して「客付け業者」というのは、物件の買主である投資家を見つける業者です。
   次の図(図表4)をご覧ください。売主から物件を売却することを委託された元付けの業者が、客付けまでできれば「両手取引」ができます。客付けを「客付け業者」が行った場合は、「売主―元付け業者」、「買主―客付け業者」といった「片手取引」となります。
   右記を踏まえれば理解いただけると思いますが、不動産仲介業者が売却依頼を受けた 際の行動としては、次のようなものがあります。

 
  • ①自分の顧客に購入するように営業を行う(個人両手)
  • ②自分の課・部で購入客を探す(課内・部内両手)
  • ③他支店等含む社内で購入者を探す(社内両手)
  • ④仲の良い仲介業者へ情報開示し、買主を探す(片手だが、次の取引へつながる)
  • ⑤市場へ情報を開示し、買主を探していく(片手)
  •  

 まず不動産仲介業者の営業担当者個人にメリットがある(数字が上がる)ことから、お客様へ優先的に情報を開示していくことになります。簡単にいうと、①のケースであれば営業担当者としては、もっとも利益が大きくなります。
  その次に、同じ会社内の同じ課内で買主を探す、また課を問わず社内で買主を探す、という順番を経て、仲の良い仲介業者へ情報を開示し、買主を探すという流れになります。
  もっとも近いところから声をかけていって、徐々にその対象を広げていく印象です。そして、一般的に有名なポータルサイトへ掲載されるのは、⑤の段階で掲載することが多く、ここでようやく「公開情報」や「オープン情報」といわれる状態になります。
 すべての掲載物件がそうだとはいえませんが、①〜④の投資家が買えなかった、買わなかった物件が、ポータルサイトに掲載されるケースは非常に多いです。繰り返しになりますが、優良物件であればある程すぐに売れてしまうため、WEB公開はされません。
 より良い物件が欲しいのであれば、独自の仕入れルートを持つ不動産会社、未公開物件情報を多く持つ不動産会社とコンタクトを取り、信頼関係を作っていくことが重要になります。
 私の経営する会社では、全国約12万社の不動産会社とコンタクトを取りながら、物件情報を日夜収集しています。
 不動産投資における物件探しについて、「千三つ」というキーワードがあります。これは「本当に良い物件は、千に三つ程度しかない」といった意味に使われますが、経験値でいえば、もっともっと少ないのではないかと思います。
 というのも毎日約400件、1カ月でいえば1万件ほどの売却情報が集まりますが、その中で融資が付きやすく利回りが良い物件は、約5件程度しかありません。また私の経営する会社では①のタイミングで投資家へ物件を紹介していますから、完全にクローズの状態ということになり、実際に市場にある物件よりも、利回りや物件状態の良い物件が多いのです。
 ただ、同じ会社でも複数の営業担当者がいますから、それぞれの顧客に情報を流した段階で、その情報が奪い合いになるケースもあります。それくらい良い物件の情報というのは、希少なものといえるでしょう。

優良物件が生まれる10のケース

 続いて紹介するのは、どのようにして優良物件が生まれるかです。優良物件は最初から優良な物件として販売されているわけではありません。
 そもそも築浅で好立地、かつ高利回りというようなパーフェクトな物件はほとんどないといっていいでしょう。築浅で好立地を重視するなら、低利回りを受入れるといったような何かしらを妥協しなくてはならないのですが、どこまで許容するかは投資家それぞれの判断です。
 またお買得な物件には、それなりの理由があるものです。その「理由」が許容できるものなのか、また「克服しなくてはいけない理由」であった場合は克服できるのか、それが優良物件を購入するためのキーとなります。
 それでは、優良物件が生まれる10のケースを順番に解説していきましょう。

〈オーナーが高齢〉

 オーナーが高齢のケースでは、「資産整理」、「管理が面倒になった」、「子供から相続 したくないといわれた」、「入院などで賃貸経営ができない」といった理由で売却するこ とがあります。この場合は、高く売ろうというよりは早く現金化したいと希望するオー ナーが多いため、相場より安く売られる可能性が高いです。

〈相続〉

 オーナーの死去による相続のほか、生前贈与のケースがあります。相続でアパートを 引き継いだものの、「遠方に住んでいるので管理できない」、「賃貸経営の経験がないの で管理できない」といった理由で売却されます。また「売却して相続税の支払いに充て たい」という場合には、納税期限までに現金化する必要があり、相場より安く売られる 場合も多いです。

〈資金難による売り急ぎ〉

オーナーが賃貸経営以外の事業を行っている場合の売却には、資金が足りなくなり泣 く泣く売却するケースもあれば、決算期に売上を立てる目的での売り急ぎもあります。 いずれの場合も指値が通りやすくなります。

〈事故物件〉

  事件や事故といった心理的瑕疵 しんりてきかし のある物件は、基本的に嫌がる方が多く、価格が下がる傾向にあります。告知事項といって、売却時にも賃貸に出す際にも告知をする義務が ありますが、相場よりも著しく安価で購入できるのであれば、お買得物件を入手するチャンスといえます。

〈再建築不可〉

 再建築不可の物件とは、その名の通り再建築(建替え)のできない物件です。その理由としては、接道要件を満たしていないことが上げられます。そのほか既存不適格といって、新築当初は合法であっても現在の建築基準法を満たしていないケースなども安くなる可能性がありますが、こうしたケースは融資が付きにくいという欠点があります。

〈任意売却物件の取得〉

 所有者が何かしらの理由で、ローン返済を滞納して差し押えされた状態の物件です。債務者である金融機関の同意を得て手放すことになりますが、競売の基準価格よりも高い金額であれば購入できるケースが多く、市場価格よりも安くなります。

〈競売物件の取得〉

 任意売却がうまくできなかった場合、競売物件として裁判所が行う入札で物件が売られることになります。昔は不動産のプロだけが関わるといったイメージでしたが、最近では一般の方々も参加しており、最近では競売物件=お買得とはいい切れないようになっています。

〈地場の管理会社からの情報〉

管理会社では、自分の顧客である大家(とくに地主)から売却の相談を受けることが多くあります。その場合、市場に出る前の情報となり、所有者と直接交渉できることもあって、相場よりも安く買える可能性が高くなります。所有者としては信頼している管理会社からの話になるため、総じて話はまとまりやすくなります。

〈空室率の高い物件の取得〉

 空室率の高い物件を割安で購入して、きちんと高稼働させることで高収益物件に甦らせることができます。その場合は、「なぜ入居者がつかないのか」、「どうしたら入居者がつくのか」をしっかりヒアリングした上で、入居者がつかない理由を改善しなくてはなりません。

〈ボロ物件の再生〉

 入居者のまったくない、すべて空室の物件を購入して再生します。全部空室という場合は、ライフラインが整っていなかったり雨漏りがあったりと、建物に問題のあるケースが多いです。修繕費が多額にかかるケースも多く、その場合には、物件取得費用に加えて物件を再生するためのリフォーム費用が必要となります。難易度は非常に高いですが、物件をより安く購入できます。

 

 以上、10のケースをご紹介しましたが、これらの投資手法を実際に行うのは簡単ではなく、大家としての立場のほか、本業を持つ投資家が行うのは現実的ではありません。  元々は訳あり物件だったり、難あり物件だったりしたものを購入して再販するような状況は、プロが行う内容も含まれています。個人投資家で行っているケースをいえば、すでに会社を辞めて不動産賃貸業を専業とする、いわばセミプロのような投資家が行っているだけではないでしょうか。  私の経営する会社では、自社で買い取った収益不動産を投資家に販売しています。この場合は、不動産会社が売主となります。不動産会社が売買仲介ではなく売主となった場合の特徴としては、次の2点があります。

①商品化をしてから販売

 

 不動産投資専門の会社が販売する収益物件は、必要な修繕を施して、きちんと稼働し た状態、つまり収益物件としての商品化をしてから販売しています。

瑕疵担保 かしたんぽ 責任が2年間

 瑕疵担保責任とは、売買した不動産に瑕疵(欠陥)があった場合に、売主がその責任 を負うことです。瑕疵担保責任は期間限定のもので、一般の売主であれば3カ月程度が多いですが、不動産会社が売主の場合には2年間と法律で定められています。築古物件 の売買では瑕疵担保免責といって、瑕疵担保責任を負わないという条件で契約を結ぶこ ともあります。

売買を取り持つ役割をする売買仲介業者と、その物件の売主となる業者で比べれば、 後者の方が圧倒的にその物件には詳しくなり、投資家目線で取り組んでいることも強み となってきます。

ライバルとの熾烈な物件情報争奪戦に競り勝つ方法

 第2章の結びとして、希少な優良物件の情報を得るためにはどのような行動をすべきかをアドバイスさせていただきます。
 不動産業者から投資家を見た時に、もっとも重視することは「決断力」と「行動力」です。
 何度も繰り返しますが、不動産は決して安いものではありません。融資を受けるといえば聞こえはいいですが、それは大きな借金を背負って物件を買うこと。その決断をできるか否かが求められているのです。
 物件購入に対する決断のほかに、融資条件であったり、物件のさまざまなことに対しても決断を求められるシーンがあります。それらに対して責任を持って判断ができなければ不動産投資を行うことはできません。
 それ以外に大切なのは「行動力」です。不動産投資における最初のパートナーは不動産業者です。より良い不動産業者と出会うことが、不動産投資の成功への近道ですが、待っているだけでは良い業者は現れません。自分自身で探して連絡する、面談する、といった行動が必要不可欠です。
 物件購入にあたっても同様です。資料を請求する、資料を精査する、融資を申し込む、物件を調査する、といったさまざまな行動が必要です。そして、晴れて不動産オーナーになった暁には、物件を適切に管理して稼働させることも重要な行動となります。
 もちろん、購入にあたっては不動産業者があなたをサポートしますし、購入してからも管理会社やリフォーム業者など、さまざまな関連業者が実務を行いますが、その司令塔となるのは投資家自身。だからこそ、不動産投資において「決断力」と「行動力」は必須なのです。
 また、もう少し具体的にアドバイスすると、「物件探し・購入」にあたっては、不動産業者に対して以下の3点をしっかり行うようにしましょう。

①個人属性の開示

 

 第1章で解説した個人属性をしっかりと開示します。源泉徴収票や自営業者であれば確定申告書、法人であれば決算書をお持ちになるとより良いでしょう。

②ビジョンを伝える

 どれくらいの投資規模を目指すのか、また、「○年後までに○○万円の家賃収入が欲しい」といった具体的なゴールのイメージをしっかり伝えましょう。

③レスポンスを迅速に

 

 不動産業者と面談すると、担当の営業担当者がついて物件情報の連絡が来るようになります。メール、電話、最近ではLINEを使う業者もありますが、一斉配信のメールマガジンはともかく、個別連絡については必ずレスポンスしてください。とくに物件情報については、複数の投資家に対して同じ情報が送られているケースがありますから、いち早く反応することがより良い物件を購入するコツです。投資家から質問をして、担当者からその返答が来た場合にも迅速に返信を行いましょう。

 その他、業者に対して有効なのは、自分自身が「買える客」であることアピールすることです。

 すでに物件を所有しているのであればその情報を、融資を受けている場合にも、その詳細を伝えましょう。その経験が有利に働くか、不利に働くのかは物件次第となります。物件の評価に比べて債務が大きすぎる場合は、買い増しにおいてハンデとなることもあります。

 まだ融資を受けていない状態でも、過去に融資打診を行っているのであれば、その情報を伝えることで融資審査がスムーズになります。

無料会員登録してこの続きを読む

サイトマップ