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#2第1章 資金調達
好条件の融資を引き出し、物件購入が可能な状況を作る

投資成功の鍵を握るのは 「資金調達力」

 不動産投資は、基本的に融資を受けて行うケースが大半を占めます。
 築古・狭小ワンルームであれば数百万円の物件もありますが、多くは1000万円以上、一棟物件であれば最低でも数千万円、中には億単位の物件も珍しくありません。そうなれば、なかなか現金一括で購入できる金額ではありませんから、金融機関からお金を借りなければならないのです。
 そのため不動産投資で重視されることは、どんな融資を使って投資ができるのか―
つまり、資金調達力が成功の鍵を握るのです。どんなに良い物件や欲しい物件があったとしても、購入資金が準備できない限り、その物件を購入することはできません。
 また資金調達といっても、「融資金額」「融資期間」「調達金利」という三つの条件によって大きく変わってきます。まずは、これらについて詳しく解説しましょう。
● 融資金額……物件価格に対して大きければ大きいほど、自己資金の割合が少なくなり、次の2棟目購入にシフトしやすくなる。
一般的には物件価格に対して頭金1〜2割といわれているが、フルローンやオーバーローンを出している金融機関もある。
● 融資期間……長期になればなるほど、毎月の返済額は少なくなり、キャッシュフローは多くなる。  
一般的にはマックス30年≧築年数・経過年数だが、 30年以上の融資を出している金融機関もある。
● 金利……低ければ低くなるほど、毎月の返済額は少なくなり、キャッシュフローは多くなる。  
一般的には1・2〜2・48%程度だが、マイナス金利の影響もあり、0・5〜0・6%程度の金利水準で融資している金融機関もある。
加えて調達先がメガバンクなのか、地銀なのか、信用金庫なのかは、各金融機関で条件が異なるため、購入したい物件に適した金融機関を選択して、スピーディーに進めることが物件購入への近道です。なお金融機関ごとの特徴の違いは、193ページからの巻末付録に詳細を掲載していますので、参考にしてください。

直近の融資環境はどうなっているのか

  ここ数年、これだけ不動産投資が普及したことについては、2015年の相続税法改 正が大きな要因の一つとして考えられています。地主の方々が収益性よりも節税を目的 に、アパートやマンションを建てたのです。
 また、2013年から始まった日銀の超金利緩和政策も要因の一つといえるでしょう。
これによって金融機関は利益の確保に苦しんでおり、特に地方銀行や信用金庫は、収益の悪化で不動産向け融資に依存する傾向が続いています。
  実際、不動産投資がどれほど過熱しているかデータを見てみましょう。
  2016年のアパートローン貸出額は、前年から21%増の3兆7860億円で、 2009年の統計開始以降、最高額に達しました(日本銀行2017年3月発表)。
  貸出額の多くは、体力の弱い地方の金融機関だといわれています。そのため大手銀行の首脳の一部が、米リーマン危機を引き起こしたサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題の日本版にもなりかねないと、警鐘を鳴らしているほどです(日経新聞2017年3月27日)。
 さらに決定的なのは、日銀が同年4月19日に発表した以下の報告です(以下、毎日新聞の記事より抜粋)。  
  過熱ぶりが指摘されている不動産向け融資について、2008年のリーマン・ショック時並みに不動産価格が急落した場合に地方銀行と信用金庫の約4割が、最終赤字に32転落するとの試算を初めて公表。リスク管理の強化を求めた。
地銀の不動産向け融資は、超低金利や、相続税対策のアパート・マンション建設の増加を背景に急拡大している。リポートでは、地銀の不動産業向け貸出額が、経済状況などから推計した妥当な水準からどれだけ離れているかも試算。この結果、九州・沖縄で18・9%、中国で11・2%、東北で10・2%も過剰融資になっていた。アパマ ンへの貸し出しの際に、周辺物件の入居率や、人口動態を踏まえた需給動向の分析も行っていない地銀は7割前後に達し、十分な審査が行われていない実態も明らかになった。

リーマン・ショック並みに不動産価格が下落した場合、地方銀行と信用金庫の約4割が最終赤字に転落する……。
これは金融機関がいかにアパートローンを貸し過ぎているかが分かる、かなり恐ろしい報告です。
 最近では不動産投資も、「供給過剰なのでは」、「このままでは将来、破綻する人がたくさん出てくるのでは」といわれるようになり、日銀や金融庁も融資に対して警戒感を強めています。
 
こうした状況を踏まえて金融庁は、金融機関に対しアパートローンの実態調査を実施。融資審査で、担保だけでなく事業の将来性を評価することなどを要請しました。
 また日銀は、金融機関への2017年度の考査で、アパートローンの適切な審査や、組織的な採算性の検証が行われているかを点検する方針を打ち出しました。つまり今後は、不動産投資への融資の締め付けがより一層厳しくなるということです。
 実際、最前線の現場に立つ私の感覚でも、2017年に入り、金融庁がメガバンクや地方銀行に対して引き締めをしているように思います。もともと頭金を物件価格の1〜2割出せば融資をしてくれた銀行が2〜3割を求めるようになり、購入できない投資家
が増えているという話をよく耳にするようになりました。これは不動産投資に対して偏りすぎているバランスを戻すために、金融庁が動いた形となります。
 このまま融資が厳しくなれば、比例して物件購入のハードルも上がります。年収が高い、一部上場企業に勤めている、自己資金を多く持っているなど高属性の人であれば融資を受けやすいのですが、そうではない人だとお金が借りづらくなるということです。
  したがって、とくに不動産投資をこれから始めようとする人にとっては、年収や自己 資金が数千万円以上という場合を除き、融資が締め付けられていないうちに始めるべき、 というのが現在の定説になっています。
  こういう話をすると、「物件価格が下がるのを待った方が良い」と考える人もいるで しょう。たしかに買える層が減っていけば、売主も強気の価格設定ができなくなるので、 物件価格が下がり、高利回り物件がこれまで以上に出てくると考えられます。
  つまり融資さえクリアすれば、高利回り物件をライバルが少ない状況で購入できる チャンスがあるということです。しかし繰り返しになりますが、肝心なのは「融資を受 けられるか否か」です。融資を受けられなければ、そもそもスタート地点にすら立てま せん。
  逆に、借りやすい時期に低金利で借りて実績を残しておけば、いざ買い手市場になっ たときにも融資は受けやすくなり、規模拡大がしやすくなるのです。
  ちなみに、なぜ金融機関がアパートローンに傾倒するのかというと、金融機関にとってアパートローンは、貸出金利が高く、億単位での貸出残高が伸ばせるものだから。何より不動産という間違いない担保が取れる魅力的なビジネスだからです。
 設備投資ニーズが少ない中、金融機関にとっても少額の融資を積み重ねるより、成績を伸ばしやすいという彼らなりの事情があります。
 今でも頭金を多く出さなくても融資をしてくれる銀行はゼロではありませんが、これからの趨勢を予測すると、より厳しくなる可能性が高いといえるでしょう。
 ただし、これは必ずしも悲観的な話ではありません。
 銀行の融資姿勢が消極的になって購入しづらくなるということは、当然、買い手の数
も減るということです。そうなれば、売主は価格を下げざるを得なくなります。
 そして、すでにその兆候は現れ始めています。都心は例外的ですが、一都三県や地方の物件は徐々に物件価格が下がって(=利回りが上がって)きています。今後も都心はなかなか価格が下落しないでしょうが、地方に目を向ければ、まだまだお買い得物件は出てくるはずです。
 したがって、自己資金を蓄えながら物件を探し続けることは、銀行の融資姿勢がいくら厳しくなったとしても変わらない融資戦略の基本といえるのです。融資環境が厳しくなれば、物件価格が下がる可能性があり、そのようなお宝物件を積極的な金融機関に融資してもらえばいいのです。

絶好の条件で融資を引き出す8つのポイント

 では、どのような条件を満たせば、より良い条件の融資を引き出すことができるのでしょうか。それについて、具体的に解説したいと思います。
 前述したように同じ1億円を借りたとしても、その金利が何%なのか、融資期間が何年なのかによって手に残るお金、キャッシュフローの金額が大きく変わります。
 最近、よく見られるのは「とにかく借りられればいい」と、高金利の融資を受けている投資家です。たしかに融資が受けられなければ、不動産投資を行うのは難しくなります。しかし、高金利で借りることが収益を圧迫し、キャッシュフローが少ないどころか
手元に現金がほとんど残らない……、といった悲惨な状況に陥る投資家もいるのです。
これこそ、典型的な「失敗投資」の実例といえるでしょう。
 同じ月額家賃が収入として入ってくる中で、そこにアパートローンの返済額がどれだけの割合なのかということを「返済比率」といいますが、返済比率が高ければ余力が減り、「空室がなかなか埋まらない」、「急な修繕でお金が必要だ」といった際に、お金が残らないどころか赤字になってしまうケースが多いのです。
 いかに手元にお金を残すか=キャッシュフローを得るかということは、不動産投資において大きなリスクヘッジとなります。そのために優位な条件で融資を受けることは、大きな意味があるのです。
 お金を貸し出す各金融機関にも、さまざまなルールがあります。とくに物件や債務者に対して複数の評価方法がありますが、ざっくりと説明すれば次の図(図表1)のような考え方となります。
図表1 融資条件を構成する3つの要素

●金融機関……支店の能力・担当の能力・成績やノルマ・時期
●投資家属性……収入・職業・勤務先・金融資産
●物件……積算評価・収益還元評価・立地・希少性
 つまり「投資家」、「物件」、「金融機関」の三者が、「どのような評価なのか」、「どのような状況なのか」が基軸となり、その組み合わせによって融資条件は変わってきます。
 人によって、物件によって、金融機関によって、またその審査を受けるタイミングにもよってきますから、その正解を簡単に導き出すことはできませんが、その仕組みを理解することでより良い融資条件を目指すことは可能なのです。
 それでは、これらの絶好条件で融資を引き出すポイントを具体的に項目別でご紹介しましょう。前提となる3つのポイントに加えて、さらに5つのポイントを足して、全部で8つのポイントがあります。

①投資家属性(収入/職業/勤務先/金融資産)
 まずは投資家本人の属性です。収入はどれくらいあるのか、その職業、勤務先と「お金を貸して問題のない人物なのか」というところを問われます。そのため一部上場企業に勤めるサラリーマンや公務員など、安定的な職業に就いて高収入を得ている方ほど高
評価が得られます。
 金融資産と負債のバランスも重要です。たくさんの資産があればあるに越したことはないですが、高収入な方ほど子供の教育費やマイホームなどの居住費にお金をかけすぎてしまっているケースがあります。その点についても、しっかりとチェックされると覚えておいてください。
 また、クレジットカード、オートローン、消費者ローンなどの支払いの延滞にも注意しましょう。万が一、払い忘れた場合は、個人の信用情報に記載され融資を受ける際のネックとなります。とくにクレジットカードは複数枚持つ人が多いものです。不必要なカードがあれば解約しておきましょう。
②物件(積算評価/収益還元評価/立地/希少性)
 金融機関は借りる人だけでなく、借りる物件に対しても評価をします。銀行が行う評価には、大きく分けて「積算評価」と「収益還元評価」があります。積算評価を簡単に説明すると建物の価格と土地の価格を足したものです。建物は築年数が経つごとに劣化し、その分価格(価値)が減っていきます。しかし、土地価格に関しては変わらないという見方をします。収益還元評価は、その物件から生み出される収益性から、その物件の価値を推し量る評価方法です。
 基本的に金融機関は積算評価、収益還元評価どちらも確認しますが、どちらを重視するのかについては、その金融機関によって基準が変わります。
 立地についていえば、まずは賃貸ニーズがある立地であることが大切です。住む人がいなければ、賃貸経営が成り立ちません。次に利便性です。首都圏であれば駅を基準に徒歩○分と判断しますが、地方であれば生活主要道路から近いのか、駐車場の台数が確保されているかということが重視されます。
 最後に物件そのものの希少性です。近隣の物件がワンルームや1DKが多い中で、3DKの間取りであれば希少性あり。競合する間取りが少ないほどに有利です。
 通常6%のエリアで8%等、また、実勢価格で評価をする地方銀行も一部あるので、都心立地の物件だと評価が伸びます。
③金融機関(支店の能力/担当者の能力/支店・担当者の成績やノルマ達成率/時期)
 金融機関についてですが、同じ金融機関でも支店によって能力は変わります。支店の規模によっては決済金額も変わることがあり、A支店に打診してNGだったものが、B支店ではOKだったということは珍しくありません。これは担当者の能力も関係してきます。
 そもそも支店によって規模がありますし、支店長のタイプによっても融資に積極的なのか消極的なのかが変わります。支店の成績、担当者の成績やノルマ達成率というのもありますし、時期(四半期末や年度末等、成績を上げなければならない時期がある)にも左右されます。
 たとえば定年間際の支店長であれば、積極的に成績を上げるのではなく、無難に失敗をしないように、ということだけを考えているケースがあります。すると、通る融資も通らないという結果になることもあるのです。
 逆に3月末、9月末といった期末時には、融資ノルマを達成するために多少条件的に厳しい物件でも融資を決めたという、まったく逆の話を聞くことも珍しくありません。
④自分の親兄弟、配偶者の親兄弟の状況
 家族を把握することも、融資を有利に運ぶことの一つだと知ってください。たとえば今すぐではなくても将来的に実家を継ぐ、といった相続財産の有無、もしくは地方銀行などは地縁の繫がりを重視するため、自分の親兄弟、配偶者の親兄弟の居住地や取引状況によって、融資が降りる可能性がアップするのです。
 その他、自分自身の属性がさほど高くなくても、親族が大企業や社会的地位の高い職業に就いている場合もアピールになります。
⑤運転免許証
 意外と盲点といえるのが、運転免許証の色です。金融機関では本人確認の意味もあり、必ず免許証のコピーを提出します。その際に、ある程度の年齢にもかかわらずゴールド免許でないと、いろいろ良くない可能性を想像されてしまう懸念があります。
 また免許番号の末尾は再発行数字であり、その数字が多いということはルーズに見られる可能性もあります。この再発行数字に関しては、免許の更新をしてもリセットされることはないので注意が必要です。
⑥ポートフォリオ
 ご存じない方も多いのですが、金融機関はポートフォリオ理論を好みます。よって定期、外貨、投資信託、株式投資など分散投資を少額でもしておくと、バランス良く資産の運用を行っているというストーリーを作りやすいのです。また、そういった金融資産もあるというアピールにも繫がります。

図表2 図を作成し保有財産を棚卸する範囲
⑦相談表や家系図など、わかりやすい資料の作成
 金融機関の担当者が理解しやすい資料を作成しておけば、融資にとってプラスになります。自身の職務経歴表から資産の一覧表、相談表、図表2でも紹介した家系図といった資料をあらかじめ作成しておくことで、担当者が 稟議書 りんぎしょ 稟を書きやすくなります。
 稟議書というのは、融資の申し込みを受けた担当者が作成する行内向けの文書です。融資審査では、支店長や本部が決済を出しますが、支店長や本部は融資担当者から提出される稟議書を見て判断しますので、とても重要な書類です。
⑧銀行口座の入出金履歴
 自分でできる努力としては、銀行口座の入出金を計画的にしておくことです。
 ポイントとして、高額な出金は控えること。これは「浪費をしている」というようなイメージを与えないためです。逆に毎月定額の入出金があれば、物事を計画的に進めることをアピールできます。その他、月々の生活とは関係のない交遊費等は、別口座で管理するのが良いでしょう。家計管理からの側面だけでなく、銀行からの見た目も良くなります。
 最後に定期預金です。定期的に貯金を行うことは、より良い印象を与えます。この場合は金利が高いネット銀行を推奨します。預金については、ポートフォリオで紹介したような他の金融商品でも構いません。

金融機関の担当者に気に入られる少しだけズルイ方法

 最後に融資を受けるための裏技として、金融機関の担当者に気に入られる、少しだけズルイ方法をご紹介します。
•金融商品を購入する
 銀行では融資だけでなく、投資信託、外貨預金と投資商品の販売もしています。これらを販売することも担当者の成績になりますので、「購入したい」と申し出ると喜ばれる可能性が高いです。
•口座を作成する
 口座作成もまた成績の一つです。口座作成と共にクレジットカードを作る、カードローン機能をつける。またその口座を給与口座にしたり、公共料金の引き落とし口座にしたりするとより喜ばれるでしょう。
•保険に加入する
 金融機関でも保険商品を扱っています。終身保険や養老保険、学資保険などもあります。これらに加入すると担当者の営業成績になります。
•投資家を紹介する
 融資を受けたいという投資家を紹介することも、金融機関に対して良い印象を与えることができます。その際には、より属性の良い人、より資産のある人だと効果も期待できます。
 金融機関の担当者も一営業者であり、毎月さまざまなノルマを抱えています。また担当者も人の子ですから、いろいろと協力してくれたお客様に対しては積極的に業務を進めることが多いのも現状です。
 稟議書内においても、銀行にとって有益な顧客として書類を作成しやすいといわれており、実際に協力することで、金利が下がった実例もあります。
 これらのテクニックを駆使することで、一般的な投資家よりもずっと有利な条件で融資を引き出すことができるようになります。実際、当社が顧客の資金調達をサポートさせていただく場合、金利の低い「メガバンク」と「地銀」から融資を引くケースが大半を占めます。さらに過去9年間のフルローン成約率は、実に97%にも上ります。ここでは参考までに、2017年の融資実績をご紹介させていただきます(図表3)。
図表3 2017年度当社融資実績

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