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  • #3ポートワインと洋食と

#4和とワイン

 最近は和食の店でもワインをおいてある所が多くなった。特に寿司屋で白ワインを中心においている所が増えている。というかむしろ積極的にシャルドネなどの辛口ドライを寿司とマリアージュという所が多くなった。

  大昔から寿司には日本酒が合わされてきた。これにビールがラインナップされ、かなり遅れて焼酎やウイスキーがメニューに載ったが、割と最近まで寿司屋ではワインは敬遠されてきた。これは日本文化の寿司と西洋文化のワインが合うはずないと思われていたからにほかならない。

 ビールや焼酎などはともかく、実は日本酒とワインはアルコール度数がほぼ同じだから寿司と合わせやすいと筆者は考える。日本酒はだいたい15度前後。ワインは12〜15度が一般的。それに対しビールは4〜9度、焼酎やウイスキーなどの高アルコール度数のものも水やソーダで割ると10度前後。だからワインが最も日本酒に取って代われるのである。

 赤ワインを寿司に合わせる人もいる。実は筆者は赤ワインが好きなので、寿司屋でもワインを飲むなら赤にしている。キモ煮など鉄分が多いものは、たまに赤ワインと相性の悪いツマミもあるが、まあレアケースだ。

 寿司の次は天ぷらだ。もちろん天ぷらにもワインは良く合う。筆者の場合、塩で食う天ぷらには白ワイン、天つゆつけて赤ワインが定番である。基本揚げ物であるから西洋の揚げ物文化に育ったワインが合わないはずはない。特にコースの場合、ひとつひとつの天ぷらの合間に飲む酒は日本酒よりもワインの方が向いている。少し油っぽくなった口の中をドライなワインで洗い流すとまた次が美味しく食べられるというものだ。

 和食で日本酒と最も縁が深いのが蕎麦である。蕎麦屋で日本酒は江戸時代からの深い事情がある。一説によるとちゃんとした蕎麦屋は注文が入ってから打つので、待ち時間がかなりあり、客は海苔などをアテに酒を飲んで待つという風習ができたそうな。

 現代においても蕎麦屋で日本酒はド定番でそれだけにワインが入り込む余地はないかに思われてきた。しかし、最近は少しづつ蕎麦屋にもワインが進出してきた。何しろツマミに天ぷらがあるのだから、ワインも出番はある。蕎麦味噌とか焼き海苔という昔ながらの蕎麦屋のメニューにもドライの白ワインなら美味しく頂けるというものだ。

 筆者は相方が鰻屋にいるので、鰻を食べる機会が多いのだが、鰻にも赤ワインがぴたり合う。特に鰻のきも焼きには山椒と赤ワインが欠かせない。いわゆる甘辛の照り焼きソースに分類される鰻や焼鳥のタレは赤ワインのタンニンと合うのだ。もちろんその赤ワインは辛口である事はいうまでもない。また白焼きに山葵乗っけて白ワインやシャンパンというのも実にいい相性だ。

 そういえばランブルスコなどの微発砲の赤も鰻や焼鳥と実に相性が良い。フェラーリやランボルギーニがあるモデナのあたりはエミリア=ロマーニャ州で、ここの地酒がランブルスコであり、筆者がフェラーリやランボルギーニあるいはマセラティーに取材に行くたびにモデナで宿泊し、毎日ランブルスコを呑んでいたので、個人的に好きなだけなのかも知れないが、呑み慣れるとこれが実に良い!

 赤ワインをガブガブ飲める日本食はお好み焼き屋の粉ものソース味だろう。お好み焼きや焼きそば、関東ではもんじゃ焼きなど、粉ものには赤ワイン、それもリーズナブルなワインが相性ピッタリである。

 話はそれるのであるが、もんじゃ焼きについて江戸下町文化愛好家として一言だけ言わせてもらうと、「土手作ってるうちは観光客」ということ。土手作ってネチネチこねるのは江戸っ子的には野暮!第一、一番旨い煎餅が食えないっていうもんだ。浅草とか町屋とかのちゃんとしたもんじゃ屋(チェーン店的な店は土手方式だから間違えんなよ)は、熱い鉄板に一気にもんじゃを流し、両端に具を延ばして真ん中に薄い皮膜を作る。これが焼けてパリパリになるのが煎餅だ。この煎餅がメチャ旨い。その後、具をハガシ(個人用の小さいへら)で口に運ぶのだが、具を掬っちゃったら、これがまた野暮。ハガシは具を人差し指で上から押さえるように押しつけて取らないといけない。

 このハガシ、口と鉄板を往復するわけだから、一緒に食べる人は選んだ方がいい。熱消毒はするもののほぼ間接キスだからね。だから筆者はもんじゃ焼きは女性と食べる事に決めている。さらには、どうせハガシで間接キスだからと説明し、アルコールで消毒するから大丈夫と、ひとつの赤ワインのグラスを女性と共用に出来れば、ジェダイマスターだ。

 ちなみにこのハガシ。かっぱ橋道具街で買い求めるとそこそこ良いものでも200円ほどなので、マイハガシにどうぞと女性にプレゼントすると非常に喜ばれる。

◆ ライター紹介

明嵐 正彦(めあらし まさひこ)

かつて新聞記者、某自動車雑誌編集長、数年前までスーパーGTレースで監督をしていたという変わった経歴を持ちいくつかの業界では有名人。今はセミリタイヤして自転車徘徊を趣味としている。

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